この風にこころ啓けば聞こえくる 今は昔、とある国での物語

時空間絵巻Vol.3 蝶々夫人 ~ Madama Butterfly ~

”名誉に生きられぬものは名誉に死すべし”
時代に翻弄されながらも懸命に生きようとした蝶々を、羽をもがれ踏みちぎられた無惨な蝶の様になど、スズキはさせなかった

構成/脚本 赤穂隆史

あらすじ / Summary

近代化に伴い国の体制が変わり、それまでには無かった諸外国との交流も始まった時代。蝶々夫人と御女中のスズキはそんな様々な価値観が交錯する中で懸命に生きていたが、彼女たちの運命は異国人との結婚で大きく変わることとなる。その男の名はピンカートン。海軍士官として異国を渡り巡り、着任した先々で女性を囲うことを楽しみにしてきた男で、自国領事のシャープレスですら自制を促すほど。
一方スズキも女を食いものにする異国人の所行を知っていて心配するも、ピンカートンの愛を信じる蝶々夫人はついに婚礼の日にその結婚を反対する親族との縁までも絶ち、ピンカートンとの人生を選んでしまうのである。

幸せだった年月も束の間、ピンカートンはいい加減な約束を残し自国に帰ってしまう。しかし蝶々夫人はその言葉を信じて新たな縁談には耳も貸さない始末。それもその筈で彼との子供を授かっていたのである。そんなある日、ピンカートンの船が着港したことを知る。

喜びの中、夜通しで帰宅を待つ蝶々夫人。しかしその日は現れず夫人が疲れて休んだ翌朝、シャープレスに伴われてピンカートンがやってくる。が、その傍らには彼の妻も一緒だったのである。それを見て全てを悟ったスズキ。その後のことを覚悟し蝶々夫人に全てを告げるのである。
蝶々夫人は自身が育てられた教えに従い名誉と我が子の将来のために自決する、そしてスズキもまた自らの勤めを果たすのであった。

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